驚愕の辛さ  恐怖の辛(しん)ラーメン

ウメが働いている処に、アルバイトの金(きん)ちゃんと仇名の、韓国から留学している女子大生がいる。
もう1ヶ月ほど前の事だが、その金ちゃんが親から送ってもらった韓国製インスタント・ラーメンをウメに2個くれた。
ウメが彼女に「ありがとう。これ、辛いんでしょ?」と言うと、「全然辛くないですよ}と笑いながら答えたそうだ。
このラーメンは見るからに辛そうな色合いの包装に、辛そうな「辛(しん)」という名前が付いている。
メーカーは頭痛に効きそうな「農心(のうしん)」という名だ。

ウメが作ってくれたそれを、恐る恐る口に入れた直後、「からーーっ!」と言う言葉を僕は発した。
尋常ではない、口中全体に突き刺さるような辛さなのだ。
麺を食べ終えスープを飲む時は、咽越しに痛みが走った。
きっと塩酸か硫酸を飲むと、これに似た感覚ではなかろうかと思ってしまった。
それでも全て飲み干したのは、人間の食べ物でこんな事が経験出来る面白さが手伝ったのだろう。

食べ終わるとぐったりした。
食べ始めて直ぐに、僕の顔からも頭からも汗が流れたのでタオルで拭いたが、頭にかいた汗は暫らく吹き続けた。


元来、僕は辛いものは好きだが体の方が強くないようで、カレーの辛口を食べると頭から汗が吹き出てくる。
しかし、一時期激辛ブームで通常の辛さの何十倍とかいうカレーやつけ麺がテレビで紹介されていたが、僕は本当に美味いのかと疑問を持っていた。
「とにかく辛いものを食べたい」と言う願望は持ち合わせていない僕が、今回初めて辛ラーメンを食べて思ったのは、
激辛の味付けをすれば腐った食材で料理したものでも、何ら気にせずに食えるだろうということだ。(その後どうなるかは別だが)
度を越した辛さは食材の本来持っている味を殺して、食感だけしか残さないのではないだろうか。
それとも、辛い食べ物の多い食文化の国で生まれ育った金ちゃんのように、辛ラーメンが「全然辛くないですよ」と言えるくらい辛い食べ物を毎日食べ続けて慣れると、食材の味までわかるようになるのだろうか。

初めての辛ラーメンを食べ終わって、ウメとその感想を話し合っていたら、僕の頭頂部と後頭部がジーンとしてきて、頭を触ると引いていた汗が、再びジワ~と出ていた。
これは独りで辛ラーメンを思い出したら、その度に同じ状態になる。
このことについて書いている今でも、頭に汗はかかないが、熱を帯びた感じがしてくる。
あの強烈な体験で、僕の脳みそは辛ラーメンを思い浮かべただけで、汗をかかせる情報伝達の回路が出来上がったのかも知れない。

明快に因果関係が僕自身に判っているので「トラウマ」とも言えないだろうし、「ベルが鳴る→餌をもらえる」を何度も同じ事を繰り返すうちに、ベルが鳴っただけでヨダレを垂らすようになった犬のように、何十回も辛ラーメンを食べたわけでもないのだから、「条件反射」とは言えないような気がする。
しかし、これが条件反射だとすると、僕にはいささかショックである。
何度も反復しないで、一発で条件反射をするようになったのなら、犬以下ではないか。
いや、犬よりも高等だから、一発で条件反射をするようになったのかも知れない。


蛇足だが、
重症のトラウマになった場合、コーマ(昏睡)になることがある。
これがトラコーマである。





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